翔のそばにいるべきか分からないまま、一緒に過ごし始めて二ヶ月が経った。
ある日の平日。心菜を保育園へ迎えに行くと、担任の先生に呼び止められた。
「最近心菜ちゃん元気がないんです。ご家庭で何かありましたか?」
びくりと肩を震わせた私。平静を装い「いえ。特に何も」と答えると、そんな私を見て先生は首を傾げた。
「なんだか、お母さんも最近少しお疲れ気味のような……」
それはきっと、週末の心労が重なったせいだろう。
けれど、まさか他人から『疲れている』だなんて指摘されるとは思わなくて。
私が苦笑いを浮かべながら「少し寝不足で」と答えると、先生はなるほど、と言う風に頷いた。
「ひょっとしたら心菜ちゃんも、そんなお母さんに気づいて不安がっているのかもしれませんね。
子どもは親の変化を敏感に感じ取るので。
お母さんも大変だとは思いますが、お子さんの前ではなるべく元気に接してやってくださいね」
そう言って帰宅する私たちに、バイバイ、と手を振る先生。
いつもなら元気に手を振り返す心菜だが、今日はなんだか上の空で、ぼんやりとどこともつかぬ遠くを眺めていた。
「心菜、元気ないの?」
帰り道、ベビーカーを押しながら、黙ったまま座っている心菜へ話しかけるが、何のリアクションも示してくれなかった。
「ママが、元気ないから?」
心菜は一度私の方へ振り返って、またふいっと別の方へ向いてしまう。
確かに私は翔とのことで追い詰められている。
私がこんな精神状態じゃ、心菜を幸せにできるわけがないと思った。
ギスギスした夫婦関係に挟まれた心菜が、心地よい毎日を過ごせるはずがない。
恭弥と一緒だったときは、私たちは自然と家族になれたのに。
どうして、同じことができない?
違いといえば、私と恭弥の間には確かな信頼関係が存在していたということか。
恭弥が心菜を愛してくれていると、はっきり分かっていたから、心菜を任せても安心だと思えた。
翔は心菜を愛してくれているのだろうか。正直言ってわからない。
間違いなく言えるのは、心菜を翔には預けられないということ。
翔へ不信感しか抱いていない私が、二人で力を合わせて同じ方向を向くなんて、できるわけがないと思った。
ある日の平日。心菜を保育園へ迎えに行くと、担任の先生に呼び止められた。
「最近心菜ちゃん元気がないんです。ご家庭で何かありましたか?」
びくりと肩を震わせた私。平静を装い「いえ。特に何も」と答えると、そんな私を見て先生は首を傾げた。
「なんだか、お母さんも最近少しお疲れ気味のような……」
それはきっと、週末の心労が重なったせいだろう。
けれど、まさか他人から『疲れている』だなんて指摘されるとは思わなくて。
私が苦笑いを浮かべながら「少し寝不足で」と答えると、先生はなるほど、と言う風に頷いた。
「ひょっとしたら心菜ちゃんも、そんなお母さんに気づいて不安がっているのかもしれませんね。
子どもは親の変化を敏感に感じ取るので。
お母さんも大変だとは思いますが、お子さんの前ではなるべく元気に接してやってくださいね」
そう言って帰宅する私たちに、バイバイ、と手を振る先生。
いつもなら元気に手を振り返す心菜だが、今日はなんだか上の空で、ぼんやりとどこともつかぬ遠くを眺めていた。
「心菜、元気ないの?」
帰り道、ベビーカーを押しながら、黙ったまま座っている心菜へ話しかけるが、何のリアクションも示してくれなかった。
「ママが、元気ないから?」
心菜は一度私の方へ振り返って、またふいっと別の方へ向いてしまう。
確かに私は翔とのことで追い詰められている。
私がこんな精神状態じゃ、心菜を幸せにできるわけがないと思った。
ギスギスした夫婦関係に挟まれた心菜が、心地よい毎日を過ごせるはずがない。
恭弥と一緒だったときは、私たちは自然と家族になれたのに。
どうして、同じことができない?
違いといえば、私と恭弥の間には確かな信頼関係が存在していたということか。
恭弥が心菜を愛してくれていると、はっきり分かっていたから、心菜を任せても安心だと思えた。
翔は心菜を愛してくれているのだろうか。正直言ってわからない。
間違いなく言えるのは、心菜を翔には預けられないということ。
翔へ不信感しか抱いていない私が、二人で力を合わせて同じ方向を向くなんて、できるわけがないと思った。


