「おい、いい加減に――」
いつまでも頭を下げ続ける翔に恭弥が声を苛立たせて、翔に向かって一歩踏み出した。
無理やり家から追い出す気だろうか。
「恭弥……」
私は掴んでいたその裾を引っ張って、彼を引き止めた。
まさか私が翔を庇うとは思ってもみなかったようで、恭弥は驚いた表情でこちらを見る。
もちろん、庇うつもりなんかない。
力づくで家から追い出したところで、何の解決にもならないことを分かっているからだ。
だって、こうなってしまっては仕方がない、私が逃げていても終われない。
翔との関係を終わらせられるのは、この世で私、ただ一人なのだから。
今、この場で彼と向き合って、決着をつけなければならない。
「心菜を連れて二階に行っていてくれる?」
私が恭弥を見上げると、彼は「何言ってんだ」と声を荒げた。
「また何かあったらどうすんだ。俺もそばにいる」
恭弥が私の肩にそっと手をかける。
いつもの鋭い瞳の中に、心配の色が滲んでいる。
「大丈夫だよ、もし何かあったら叫ぶから。お願い」
肩の上に置かれた彼の手にそっと手を重ねると、彼は不承不承引き下がった。
リビングの奥にある寝室に心菜を迎えに行く。
「ありがとう。話を聞いてくれて」
翔が少しだけほっとした表情で顔を上げた。
が、もちろんまともに話を聞くつもりなんかない。
今さら謝られても遅いということを伝えるだけだ。
廊下に座り込んだ彼を引き立たせると、リビングの中へと促した。
いつまでも頭を下げ続ける翔に恭弥が声を苛立たせて、翔に向かって一歩踏み出した。
無理やり家から追い出す気だろうか。
「恭弥……」
私は掴んでいたその裾を引っ張って、彼を引き止めた。
まさか私が翔を庇うとは思ってもみなかったようで、恭弥は驚いた表情でこちらを見る。
もちろん、庇うつもりなんかない。
力づくで家から追い出したところで、何の解決にもならないことを分かっているからだ。
だって、こうなってしまっては仕方がない、私が逃げていても終われない。
翔との関係を終わらせられるのは、この世で私、ただ一人なのだから。
今、この場で彼と向き合って、決着をつけなければならない。
「心菜を連れて二階に行っていてくれる?」
私が恭弥を見上げると、彼は「何言ってんだ」と声を荒げた。
「また何かあったらどうすんだ。俺もそばにいる」
恭弥が私の肩にそっと手をかける。
いつもの鋭い瞳の中に、心配の色が滲んでいる。
「大丈夫だよ、もし何かあったら叫ぶから。お願い」
肩の上に置かれた彼の手にそっと手を重ねると、彼は不承不承引き下がった。
リビングの奥にある寝室に心菜を迎えに行く。
「ありがとう。話を聞いてくれて」
翔が少しだけほっとした表情で顔を上げた。
が、もちろんまともに話を聞くつもりなんかない。
今さら謝られても遅いということを伝えるだけだ。
廊下に座り込んだ彼を引き立たせると、リビングの中へと促した。


