「子ども嫌いの恭弥が、ここまでお父さんを頑張るなんて、意外だったわ」
里香さんの言葉に、私は「えっ?」と目を見開いた。
「恭弥、子どもが好きって言ってましたけど……」
「!?」
里香さんは驚いた顔をして、しまった! というように口を手で塞いだ。
「そっか。恭弥が、そう言ったんだ」
そう漏らした里香さんは、なんだかたそがれるような目になって、それがどことなく淋しそうだったから、私は余計なことを言ってしまったんじゃないかと不安になった。
「……沙菜ちゃんが羨ましいわ」
里香さんがぽつりと呟く。
「私たちも、結婚とか考える時期があったんだけど……
まさか恭弥がここまで家族を大切にできる人だなんて思わなかったし……
それが今や立派なお父さん役だなんて、笑っちゃう……」
その言葉は、明らかに後悔が混じっていて。
あまりに恭弥のことを愛おしそうに呟くものだから、私まで胸が苦しくなってしまった。
二人の間に、一体何があったのだろう。
私はおそるおそる里香さんに問いかけた。
「恭弥のこと、今でもまだ好きですか?」
聞かなくても分かる気がして、どうしてこんなことを言ってしまったんだろうと後悔した。
里香さんは、恭弥のいる台所の方へ視線を向けて、小さな声で呟く。
「そうね。でも、いまさら、だわ。
あの人は別の子に夢中みたいだし」
里香さんの言葉に、私は「えっ?」と目を見開いた。
「恭弥、子どもが好きって言ってましたけど……」
「!?」
里香さんは驚いた顔をして、しまった! というように口を手で塞いだ。
「そっか。恭弥が、そう言ったんだ」
そう漏らした里香さんは、なんだかたそがれるような目になって、それがどことなく淋しそうだったから、私は余計なことを言ってしまったんじゃないかと不安になった。
「……沙菜ちゃんが羨ましいわ」
里香さんがぽつりと呟く。
「私たちも、結婚とか考える時期があったんだけど……
まさか恭弥がここまで家族を大切にできる人だなんて思わなかったし……
それが今や立派なお父さん役だなんて、笑っちゃう……」
その言葉は、明らかに後悔が混じっていて。
あまりに恭弥のことを愛おしそうに呟くものだから、私まで胸が苦しくなってしまった。
二人の間に、一体何があったのだろう。
私はおそるおそる里香さんに問いかけた。
「恭弥のこと、今でもまだ好きですか?」
聞かなくても分かる気がして、どうしてこんなことを言ってしまったんだろうと後悔した。
里香さんは、恭弥のいる台所の方へ視線を向けて、小さな声で呟く。
「そうね。でも、いまさら、だわ。
あの人は別の子に夢中みたいだし」


