秘密のカレはＶ(ヴィジュアル)系

「あ、あのね…この人、今日からここに住むことになった瑠威。」

「え？今日からここにって…ママ、一体、どういうこと？」

「うん。その…だからね……」

望結になんて言ったら良いのかわからなくて、私は言葉に詰まった。
望結には付き合ってる人がいることはそれとなく話してあったけど、それがうんと年下のヴィジュアル系バンドのヴォーカリストだなんてことはまだ話していなかった。
いや、話せなかった。



「初めまして。俺は瑠威。
かおりさんと結婚を前提にお付き合いさせてもらってます。」

「えっ！！け、結婚！？」

望結の目と口が大きく開かれた。
……そりゃあそうだ。
望結はごく普通の女の子。
瑠威の見てくれだけでもびっくりしたはず。
その上、こんな若い子が私の恋人だなんて、驚かないはずがない。



「あの…そういうわけだから…望結、よろしくね。」

私は軽くそう言って、愛想笑いを浮かべた。
こんな時は笑うしかない。
卑怯だけど、笑って誤魔化すしかないと思って…