秘密のカレはV(ヴィジュアル)系

だけど、結婚なんて出来るわけない。
だって、私は分別のある大人だもの…



瑠威を愛しているからこそ、彼には幸せになってほしい。
世間から後ろ指を指されるようにはなってほしくない。



「あなたとはもう別れる。」



そういえば良いんだってことはわかっていながら、その一言が言えなかった。
彼の幸せを祈る気持ちに嘘はない。
だけど、彼への強い想いが…未練がその一言を言わせなかった。


「ねぇ、かおり……」

「ま、まだ早いよ!」

「早い?だって、俺たちはもう…」

「瑠威、知ってる?
結婚っていうのはただ付き合うのとは違うんだよ。
一緒に住まないとわからないことだってあるし、それに…」

「じゃあ、一緒に住もう。」

「……え?」

「一緒に住んでみればわかるんだろ?」

そう言われてしまっては、私にはそれ以上言えることはなかった。



瑠威は次の日、うちに転がり込んで来た。