秘密のカレはV(ヴィジュアル)系

「じゃあ、オルガのファンになると良いよ。
オルガはファンにとっても優しいから。」

「オルガさんってギターの人ですよね?」

「そう、オルガはファンの顔と名前もすぐに覚えてくれるしね。
……瑠威とは全然違うんだから。」

キラさんはどこか少し拗ねたようにそう言った。



「え?瑠威はあんまり覚えてくれないんですか?」

「うん、本人は頭が悪くて覚えられないなんて言ってるけど、あれはきっと覚える気がないんだよ。」

「またキラったらそんなこと言う~
瑠威は瑠威なりにきっと覚えようとしてるんだけど、数が多すぎて覚えきれないんだよ、きっと。」

「ハルは瑠威には甘いからなぁ…」

キラさんは、呆れたようにハルさんをみつめた。



「今から開場します~!」



「あ、大変!」

「璃愛達はどの辺で見るの?」

「私達は、後ろの方で…」

「えーー…今日は少し前で見ようよ。」

さゆみが不満げな声を漏らした。



「そうだよ、頑張ればけっこう前の方行けるよ。」

「私は後ろで見るから、エミリーはキラさん達と前に行っておいでよ。」