それから数日後、私は急に思い立って、帰りにママのお店に立ち寄ることにした。
授業が済んでから、街をぶらぶらして時間を潰し、ママのお店が閉まる少し前にお店に向かった。



(ママ、びっくりするかな?)



以前はたまに来てたけど、最近はお店に来ることはほとんどなかった。
ここに来るのは何年ぶりだろう?
そんなことを考えながら、どこかうきうきした気持ちで私は店を目指した。



(あ……ママ!)



店に近付いた時、ちょうどママが歩いて来るのをみつけた。



「マ……」



声を上げて手を振ろうとした時、私は金縛りにでもあったように動きを止めた。
なぜなら、ママの隣には見知らぬ男性がいたから。
二人は、腕さえ組んでないものの、近い距離で並んで歩いていた。
お互いにみつめあって…
その雰囲気は、ただの知り合いではないように感じられた。



(ママ…どういうこと…!?)



私は茫然とその場に立ち尽くしたまま、ぼんやりと二人をみつめてた。
二人は、何か楽しそうに話しては微笑みあっている。



目の前の出来事が、まだどこか信じられない。
でも、これが夢でも幻でもないことは、しっかりとわかっていた。