(もしかして、望結…
瑠威に直接告白したの…?)



考えただけで、鼓動が早鐘を打ち出した。
でも、私からそれを聞くことは出来ない。
私はあくまで何も知らないスタンスでいなきゃならないんだから…



気にはなるけど…しばらくは様子を見るしかないだろう。



「ご飯は食べたの?」

何も気付いてないふりをして、私は他愛ないことを訊いた。



「……ちょっと頭痛かったから…」

「何も食べてないの?」

「そんなに腹すいてないんだ。」

「だめじゃない。
なにか軽いものでも食べときなさい。」

私は、瑠威と一緒にリビングに向かった。



「おうどんで良い?」

瑠威はこくりと頷く。



望結となにかあったんだ。
だから、瑠威はご飯も食べずに、私が帰って来るまで寝室に閉じこもってたんだ。



「たまごも入れようか?」

瑠威はまた黙ったままで頷いた。



何かが少しずつ軋み始めた…



私の決意に同調するかのように…



望結が告白したのなら、別に偽の恋人を作らなくても、『望結の気持ちを考えたらもう一緒にいられない』…そういう理由でも良かったのかな。
そんなんじゃ瑠威は納得しないだろうか。
それにしても、私はやっぱりひどい女だ。
娘の気持ちさえ、利用しようとしてるんだから…
本来なら、もっと彼女の気持ちに寄り添って、一緒に考えてやらなきゃならないのに…



(最低だな…私…)



自己嫌悪に押し潰されそうな気分だった。