「ただいま。」

「おかえり…遅かったんだな…
あれ?……酒飲んでる?」

「うん、あやことちょっと、ね。」



食事の後、藤堂さんに飲みに行こうと誘われて、私はそれに応じた。
彼は本当に話好きで、お酒が入るとさらに明るく、とても楽しい雰囲気にしてくれた。
この分だと、本当に好きになることもあるかもしれない…



もちろん、藤堂さんとのことはまだ言えない。
だから、一緒にお店を経営しているあやこと飲んだということにした。
あやこはお酒が飲めないし、今までだってそんなことは一度も言ったことがないというのに、瑠威は私の言葉に疑いを持ってはいなさそうだ。



服を着替え、ふと気が付いた。



いつも、私が帰って来るまではたいてい望結とリビングにいるのに、どうして今夜は寝室にいたんだろう?
そういえば、望結も私を出迎えてすぐに自分の部屋に戻っていった。



「瑠威…望結となにかあった?」

「え?……いや、別になにもないけど…」

その声はいつになく沈んでいた。



(何かあったんだ…)



間違いない。
瑠威の態度を見たら、すぐにわかる。



何があったんだろう…?



考えているうちにあることが私の頭を過った。