「率直にお訊ねしますが…若いつばめ君とはお別れになるつもりなんですか?」

「ええ……彼も私には飽きて来てるみたいですし…
元々、本気ではありませんでしたから…」

「そうですか。
それじゃあ、僕には可能性が出て来たってことなんですね?」

私は何も答えず、ただ、ふふふと笑って誤魔化した。



良かった…さっき、あんなことを言ったのに、藤堂さんは、私のことをいやがってはいないようだ。
彼には申し訳ないけれど…このままうまく付き合えたら助かる。



いや…本気で彼と付き合うのも良いかもしれない。
彼は、見た目も内面も申し分のない人だ。
年齢的にも私とは合うし、こういう人と一緒になったら、私も幸せになれるのかもしれない。



なんて勝手なんだろう…でも、そんな風に思うと、罪悪感がほんの少し和らいだ。



「どうです?
ここのピッツァ、美味しいでしょう?」

「そうですね。とっても美味しいです。」

「もう一杯、ワインはいかがですか?」

「はい、いただきます。」

彼は優しいし、とても気の付く人だ。
瑠威といると、私は気遣いばかりしてる。
それとは正反対…
そんなことに、微かな寂しさと安堵のようなものを感じた。