『“せんせい”のくせに。』



『酔って他の男にキスしようと
するなんてお前、馬鹿かよ。』


ぼんやりする頭で声のする上を
見上げれば、


「、圭太……?」


中津さんよりも、
ヤクザな顔をした圭太がいた。


「キスしようとなんかしてないしー」


まだ頭がふわふわしている私は、
この危険な状態に全く気づかない。


『……っち。』


え、ちょっとこの人今、舌打ちした?


「確か恵子さんの弟さんですよね?
彼女がご迷惑をおかけしました。」

「いや、楽しかったし?」

『そうですか。』


ニヤリ、と笑う中津さんと
目の笑ってない笑顔を浮かべる圭太を見比べながら、今だに状況が把握できていない私だけがヘラヘラと笑う。