純情初恋

教室に入ると、クラスの人達はすでに何組かのグループで分かれていた。
「あ!凜音!もう大丈夫なの?」
「う、うん…もう、大丈夫…ありがとう」
「良かったぁ!これで全員揃ったね!」
華夢は私に手招きしながら言った。私は華夢のいるグループに向かいながら、少し不安を覚えていた。そこには、華夢と海李以外に男子生徒が2人、女子生徒が1人いたからだ。
「紹介するね。海李の隣の坊主の人が若竹健太君で、その隣のメガネかけてるのが中志正太郎君」
「よろしくな!ケンチーと呼びたまえ。ちなみに、俺野球部!まあ頭見りゃあひと目でわかるか!はっはっはー!」
「俺は科学部だ。正太郎でいいよ。よろしく頼む」
「よ、よろしく…」
「そして、私の隣にいるのが成績学年1位の山崎真珠ちゃんだよ!」
「よろしくね、凜音ちゃん。私の事は真珠でいいよ」
「う、うん…よろ、し、く…」
ひと通り紹介が終わると、華夢は私を海李の前の席に座るように言い、私は言われるままに座った。すると、すぐに華夢が話し出した。
「あのね、あのね、凜音はね、とても素直でいい子なんだよ!私が入学式で話しかけた時もね……」
(…?あれ?皆私の事怖くないのかな?)
私は思いきって皆に聞いてみた。
「あ、あの…み、皆…私、の事…怖、くない、の…?」
一瞬皆の顔がびっくりしたように見えて、私は心臓が爆発しそうになった。だが、皆から出てきた言葉は意外なものだった。
「何でだよ?俺は別に何とも思わねーぜ。なんたっていろんな悪い奴らと向き合ってきたんだからなぁ!ワーハッハッハー!」
「そうだ。それに、俺は君を普通の女の子だと思うけどな」
「私も気にしてないよ。だって友達は友達でしょう?見た目なんて関係ないわよ」
「そんな事…初めて、言ってもらえた…うっ…ううっ…」
私はまた今までに無い熱いものを感じ、感情が溢れるように涙が止まらなくなった。すると、目の前にハンカチが差し出された。顔を上げると、海李君が恥ずかしそうに言った。
「あんま泣くなよ。皆当然の事言っただけなんだし、これからは支え合う仲間だろ」
「う、ん…あ、りが、と…」
私は涙を拭きながら、今までありえないと思っていた友達のいるこれからの学校生活に期待を膨らませていた。