1時限目は自己紹介だった。私は頭痛と酷い吐き気に襲われ、倒れそうなのを必死で我慢していた。
(まずいなぁ…まただ。やっぱり保健室に行っとくんだった…何で私はこんなに弱いんだろう……)
そんな事を思っていると、私の体調はどんどん悪くなり、気がつけば視界が真っ暗になっていた。
目が覚めると、目線の先には真っ白な天井が広がっており、周りは白いカーテンで囲まれていた。
(ここ…保健室…何で?…誰が運んでくれたんだろう……)
起き上がろうとしたその時、横から大きな声が聞こえ、同時にカーテンが開かれた。
「あ!目が覚めたんだね!良かったぁ!心配したんだよーもぉー」
「華夢…やっぱり私、倒れた…んだね…」
「そうだよ!急に大きな音がしたと思ったら凜音が倒れてるんだもん、びっくりしちゃったよ!」
「ごめ、ん、ね…迷惑、かけちゃっ、た、みたいで……」
「そんな事気にしなくていいんだよ!親友なんだから!」
私は華夢の言葉にホッとして起き上がろうとしたが、体を上げると頭痛がしてなかなか起き上がれなかった。すると、カーテンの向こう側から誰かが歩いてくるのが分かった。
「無理するな。今目が覚めたばかりなんだから。大丈夫か?」
私は顔が熱くなった。そこには海李君が立っていて、心配そうに私の方を見つめていた。
「え…ど、どうして、海李君が……」
海李君は何も答えず、恥ずかしそうに顔を背けた。そして代わりに華夢が答えた。
「海李はね、凜音が倒れた時、1番驚いてたんだよ!それでね、凜音をおぶってここまで運んできたの!私はその後をついてきたんだよ!」
その瞬間、私の心臓はドクンと鳴り、今まで以上に鼓動を速めた。
(!……まただ…何だろう?…この感じ……)
「おい!余計なことを言うな!誰だって倒れた人を見たら保健室に運んでくるだろ!じゃあ、僕もう戻るから」
「あ!ちょっと!…何よ、照れちゃって」
海李君が教室に戻ってしまうと、私は少し寂しい感じがした。
「もぉー!ほんっとに素直じゃないんだから!男ってだめだねー」
「ううん。私は、運んでもらえただけでも、うれ、し、い…から…後でお礼言わなくちゃ…」
「凜音は素直だねぇー!でも、違う意味でも素直にならなくちゃねっ!にひひっ」
私は何のことだか分からなかったが、とりあえず華夢の笑顔で気が楽になった気がした。
「ありがと…華夢…もう、大丈夫、だから…華夢も戻った方がいいよ……」
「あー!そうだった!先生に凜音が目覚ました事言っとかないと!じゃあ、ごめん!先行くね!また昼休みに来るから!」
そう言って華夢は保健室を走って出ていった。