純情初恋

放課後、私は昇降口を出たところで教室に忘れ物をしてしまった事に気がつき、急いで教室に戻ったが、そこには誰もいなかった。
(まあ、皆もう帰ってるよね…)
何だか少し悲しい気持ちになりながら、忘れ物を見つけて帰ろうとした時、
「あ!誰かいる!」
と声がして、私の心臓はドクンと跳ね上がった。その声の主は、私を見つけるとキラキラした瞳を向け、こう言った。
「私、藍咲 華夢!あなたの親友になりたいの!だからよろしくね!」
急な出来事で何が起きたのか理解出来ずにいた凜音だったが、自分の頬を伝う涙に気づき、今思っている心の言葉を泣きながら伝えた。
「わ、わだぢも、あな、た、ど、じ、じずう、になり、だい、で、ず……」
「うん!よろしく!大丈夫、伝わったよ!凜音は泣き虫だねっ」
私は涙を拭いながら、笑顔で頭を撫でてくれている華夢を見つめた。