「あの、よろしく」
ためらいがちに望月くんが声を掛けてきたので、仕方なく私は、
「よろしくお願いします」
なるべく、抑揚なく平坦な声でそう返した。
地獄のホールルームが、終わった後。
「まゆ〜〜〜〜〜!泣きそう」
もうっ、ありえないよーっ。
「ど、ドンマーイ。仕方ないよ。
が、頑張れ!!!!」
苦笑いでそう言うまゆ。
「ドンマーイ、じゃないよー。もう、ホントどーしよう。───っ」
そうまゆに反論していると、私の後ろを通り過ぎた男子がトンっと肩に触れた。
───怖い、怖い、怖いっ。
ほんの少し、触れただけでそう思ってしまう。
──そう。私は、とても男の人が苦手。
だから、特別に隣の席は開けてもらっていた。

