「恐怖症、治してくださいっ。お願いしますっ」
「はい、よくできました」
よしよし〜っと私の頭を撫でて立ち上がった望月くん。
「さっ、行くか。送ってく」
「え、ぁ、だっ大丈夫ですっ。1人でかえれますっ!」
「あのさ、この前のこと忘れたの??危ない目にあったらどーすんだよ。ごちゃごちゃ言うな。俺が送ってくって言ってんだから、黙って送られとけ」
望月くんはむすっとしていうと、保健室のドアに手をかけた。
「ぁ、待って!」
「ん?」
慌てて、望月くんを呼び止めるとクルッと振り返る。
「ぁ、あのっ」
「あの?なに?」
「望月くん、よろしくですっ」
他にも、言いたいことはいっぱいあったのに。
助けてくれて、本当にありがとうとか、送ってくなんて、気を使わせてごめんねとか、いろいろ。
だけど、うまく言葉にできなくて、とっさに出てきたのはこの言葉だった。
あぅー、なにやってんだよー。もっと違うこと、言いたかったのに〜。

