くすくす、と笑いををこらえて彼をじっと見てみる。
まだ、ちょっとこわいけど、きちんと見られるようになってきた。
こわいひとじゃないって、嫌な人じゃないって、わかったから。
────もし、あの時どうして詮索されたくないのと、彼に、望月くんに尋ねられていたら私はなんて答えたのかな。
ヘラヘラっと笑ってごまかしていたのかな。
それとも、なにも反応せずにスルーしていたのかな。
私は、どうしていたのだろう。
────今でも、あの日のことは目を閉じれば鮮明に浮かんでくる。
人生が180度変わってしまった日。
私が、男性恐怖症になった日。

