お礼なんてされることしたっけな、俺。 なんて考えながら、受け取ると、少し指先が当たってしまった。 触れた途端、────っ、と長谷川の顔が歪む。 あぁ。そうだ。コイツ、極度の男性恐怖症だった。 「ごめん」 とっさに謝って、手を引っ込めると 「だ、大丈夫です」 震える声で、言ってくる。 まじ、ごめん。と、心の中で思いながら先生が来てないか確かめる。 ラッキー、まだ来てないみたいだ。 先生が来てないことをいいことに、早速ラッピングをほどいてクッキーを取り出した。