あ、お礼...............。
望月くんにお礼をしてないコトに気付いたのは、彼が路地から出て行った数分後だった。
もうっ!なにやってんのよ!ばいばいなんて言ってる場合じゃ.............。
「まだ、いるかな?」
どうしても、お礼がしたくて路地を走り抜け、街灯に照らされた大通りを見渡す。
だけど、一足遅かったみたいで彼の姿はもうなかった。
ガックリとうなだれながら大通りを歩く。
「どうしよう。そういえば、カバン持ってきてもらった時もお礼でいなかったっけ。」
クッキーでも作ろうか...............。
いや、男の子だから甘いのは好きじゃないかも。
トボトボと歩きながら考える。
うーむ。よし。
悩んだ末、甘さ控えめのクッキーを作るコトにした。
「ただいまーーー」
家に帰ってすぐ、制服を脱いでキッチンに向かう。
材料はあるはずだ。
いつか、お菓子作り〜♪なんて想って買った置いたから。
手早く、材料を出して作り始める。

