「俺の彼女に、なにしてんの変態」
俺は、今にも襲いかかろうとしかねない見知らぬ男と、 恐怖に顔をゆがめる
──長谷川の後ろに立って、 冷たく、そう言い放った。
このような状況になったのはほんの数分前。
あぁ。疲れた。
俺は、家に帰るためあくびをしながら、大通りをぶらぶらと歩いていた。
あー、なんだかこの頃話しかけられなかったなー。
───たまに、長谷川は寂しげな苦しげな表情を浮かべて、窓から空を見る。
ぼんやりと、空の向こうっていうのか、よくわからないけど空の遠くを見つめる感じ。
気になって気になって、話しかけようとするのに、いつも眠気に勝てずに爆睡。
んー。このままだと、一生話しかけられないよな。
よーし。今日ははやく寝て明日.........ん?
あ、長谷川だ。
大通りをキョロキョロしながら歩いている長谷川見えて、俺は思わず立ち止まった。
なんだか、様子がおかしいな。
何かに怯えているような顔で、早歩きしているーー。
まるで、何かから逃げてるみたい。
何からにげてんだろ。
「─────っ!」
俺は、長谷川が何に怯えているのかわかった瞬間、ひと目も気にせずに走り出していた。

