望月くんは意地悪男子

はぁー、めんどくせぇ。


なんだって、そんなに寄ってくるんだよ。


心の中では、そう思ってるくせに、笑顔であしらう。



こういう対応が一番楽なんだと気付いたのは、中3の頃。



おかげで、営業スマイルもうまくなってきた。



それにしても、。いつになったら終わるんだよ。



本気で、俺が、相手にしてるとでも思ってんのか?



..............勘違いすんな。



俺は、絶対に他人には深入りしない。



あの頃のように傷つきたくも、傷つけたくもないから──────、



「大丈夫ですか?」



声がした。


低くもなく、高すぎもせず、スッとした綺麗な声。




誰だ?


そう思って、声がした方に顔を向ける。と、そいつは、びくりと震えて、



「な、なんでもないです」



そう、冷たい声で言ってきた。



なんだこいつ。


さっきまでは、心配そうな声を掛けて、きたのにもかかわらず、顔を向けたとたん冷たい声になるなんて。


変なやつー。



なんて考えていると。



キーンコーンカーンコーン



授業が、終わった。