私たちはその後、高校の北にある小高い丘の上の公園に行って過ごした。

 会話はあまりない。
 ただ、センパイがスケッチブックにさらさらと絵を描いていくのを微笑みながら見つめているだけ。
 すると、時々私の方に顔を向けてセンパイも微笑んだ。

 昼過ぎになって、絵は完成した。
 それは、私とセンパイが公園のベンチに座りながら談笑している姿だった。
 私たちの現在の姿であり、これからの未来だ。

「美夏ちゃん」

 センパイは私の顔を覗き込みながら尋ねる。

「はい?」
「好きだよ」
「……!」

 不意打ちだった。
 でも、答えは決まっている。
 臆することもない。

「私も、ですよ。センパイ」
「言葉にしてよ」
「好きです」
「センパイ、もなし。クラスメートなんだし」
「悠理、大好き」
「僕もだよ、美夏。大好き」

 青く澄みきった空の下、和やかに笑い合う私たち。
 その目元に光ったものはナミダであり、愛の一滴であった。