希輝アリス



「なにこんなところいんの?」

「いや入りづらくて。」

「今更なんだよ。俺がここまで連れてきてやったんだ。早く行けよ。」

「ちょ、」



どん、と背中を押されたあたしは勢い余り、そのままスタジオにはいる。

そこはあたしの知らない世界が広がっていて、正直体が硬直した。



「邪魔なんだけど。」

「あ、ごめんなさい。」

「見ない顔だけど新人?」

「は、はい。」

「へえ……そう。まっ、精々頑張れ。この世界は厳しいから。ちょっとでも気が緩むと追い抜かれるから。」

「……………そうなんですか。」



この人すごくきれい。
言葉には棘があるけど、誰にも負けない強気な気持ちがひしひしと伝わってくる。

なんだろう。
この人は見てる世界が違う。