夜12:30のコンビニは残業終わりのくたびれたサラリーマンとOLでそれなりに賑わっていた。


―――ピンポンピンポーン


呑気な音と共に店内に入ると、
いつもいるけだるそうな女子大生バイトとは違った、
ハキハキとしたメガネ男子のバイトが挨拶をした。


メガネバイト :いらっしゃいませーっ!…あれ?モデルのNANAさんですか!?


―――ギクッ


"NANA" とは私の芸名のようなもので、
いつもの女子大生バイトはそもそも興味が無いのか、声も掛けて来ないし、
マスクとサングラスを着けていることも多かったのですっかり気を抜いていた。


振り向くとそこにはすでに人だかりが。



他の客 :キャー!NANAちゃんサインちょうだい!



Nanami :あ、あの…押さないで押さないで…アァ〜困ったぞ〜…



??? :お前ら〜、NANAサンが困ってるやろ〜!サインなら俺様がしてやるから落ち着きぃな!



Nanami :イテテ…。ありがとうございます…。


顔を上げるとそこには…


Nanami :……っっ!あなたは…!!