「おい。なにやってんだ。」



後ろの方から聞き慣れた声が聞こえて、私はくるっと後ろを向く。



そこには案の定、制服を着崩しポケットに手を突っ込み、鋭い目つきで私を見つめる男、村瀬海斗が立っていた。



「なに?」



冷たくそう言い放てば、村瀬は顔色1つ変えずに私に近付いてくる。




「いや。また自殺すんのかと思って。」



ガッと腕を掴まれ、グッと引っ張られれば体制を崩して村瀬の方に倒れ込む。



だけど私はなんとか持ちこたえ、村瀬の方へは行かず、思いっきり腕を振り払った。




「死なないわよ。勘違いしないで。」



「屋上の片隅で突っ立ってたら誰だって勘違いする。」




それもそうだ。
そう思いながらも、この男の言葉に納得したくない私は無言でその場を後にしようとする。




「おい。」



また呼ばれるが、私は無視して屋上の扉に手をかける。




「てめぇは俺が殺すから、死ぬんじゃねーぞ。」




バタンッ。




思いきりドアを閉めれば、シンとした嫌な空気が私の耳に響いていた。