「ちゃっかりくっついたんだ、あんたたち。」
退院してから一週間。
学校に着くなりそんな言葉を千恵美に投げられる。
「……。」
「それにしても、あいつすごかったんだからね?」
「あいつ?」
「村瀬よ村瀬。あんたが事故にあったって話したら、もう今までに見たことないくらい焦った顔で病院来て…。泣きそうな顔で2日間眠らずにあんたの手握っててさ…。」
村瀬…が…?
「初めて見たわよ。本当にあんたのこと好きなのね。良かったじゃない。」
「う……ん…。」
照れてない。照れてない。
絶対に照れてない。
「照れてんじゃないわよ。」
「照れてない。」
……まぁ、
「私も好きだし…」
「どいつが?」
ビクッ!
この…声は…
「あら。村瀬おはよう。彼女が浮気してるわよ?」
「は?」
千恵美を睨めば、彼女はニヤニヤしながら私を見ている。
「あんたねぇ……って、え?!」
急に腕を引っ張られ、村瀬はスタスタと歩き始める。
「ちょっ!ま、え?!」
チラッと千恵美を見るが、彼女は呑気に手を振っている。
なんなのあの笑み……
後で覚えてろよ千恵美…。
そう千恵美に訴えてみるが、返ってきたのはガッツポーズだった。

