何十分、何時間過ぎたのかなんて分からない。
ひたすら泣いた私はお墓にごめんねと言って、綺麗に掃除してその場を後にした。
なんでだろう?
少し心が軽くなれたのは、泣いたせいなのか。
それとも……。
「綾香…。ありがとう。」
空に向かってそうつぶやけば、まるで応えるかのように風が吹いた。
私…
自分から話しかけてみよう…。
きっと何かが…変わるかもしれない。
「…帰ろう。」
一言つぶやいて足を進める。
わがまま…
し過ぎたな…。
今までの事を考えると、私はすごく彼に甘えていた。
「嫌われるのも…当然か……。」
はぁ、と深いため息をついた時だった。
キキーッ!!!
「え?」
後ろからもの凄い音が聞こえて振り返る。
けれどその時にはもう遅かったみたいだ。
何かが思いっきり体に当たってきて、今までに感じたことのない痛みに襲われる。
全てがスローモーションのように流れていて、くらむ視界の中で、私に語りかけるように聞こえたのはあの人の声だった。
“てめぇは俺が殺すから、もう二度と死ぬんじゃねぇ。”
「むら……せ…」
私はそこで意識を手離した。

