「ねぇ要。村瀬は?」
千恵美の言葉に、私は一度動きを静止させる。
昼休み。黙々とご飯を食べる私は、すぐに食べるのを再開させた。
「いないじゃない。あんたの旦那。」
顔を上げ千恵美を見れば、彼女は私の隣の席を見つめている。
「殴っていいかな?」
拳を握り締め彼女の方に向ければ、ごめんなさいと言う声が聞こえてきた。
「だって付き合ってるんじゃないの?村瀬と唯一話すのって要だけでしょ?」
「知らない。あいつとはただ中学一緒なだけ。それだけ。ただそれだけ。」
「ふーん。まぁ、会えばガン飛ばし合ってる仲だものね。まるで犬猿の仲ね。」
「………。」
「でもまぁ、よくあの村瀬海斗にガン飛ばせるよね。皆恐れてるっていうのに。」
あんたも恐れてないだろ。
そう心の中でツッコミを入れながら、私は黙々とご飯を食べ始めた。

