「要!」
遠くから千恵美に呼ばれ、私は作業していた手を止め顔を上げる。
すると千恵美がこちらに近づいてきて、私の目の前まで来たとき、私は短く返事をした。
「なに?」
「ちょっと買い出し行ってきて?」
「は?」
「足んないのよ。ほらもう明日本番じゃん?」
「買い出し責任者ってあんたでしょ?自分で行きな」
「忙しいのー。」
なにこいつ…。
「あ!1人だと大変だから……。ちょっと村瀬ー!」
「なんだよ。」
目の前の看板の裏からぴょこっと顔を出す村瀬。
「うわっ!こんなとこにいたの?!なんだ一緒にやってたんだー。」
ニヤニヤする千恵美をガン無視し、私は作業に戻ろうとする。
「ちょ!お願い要行ってきてー?ほら!村瀬もついて」
「1人で行けるから平気。」
バッと千恵美の手から札をひったくる私。
「え?1人じゃ…」
「大丈夫。で?なに?」
「えと…チョコソースが三本に…」
買うものを紙に書いてもらい、私はそれを受け取ると1人で教室を出た。
なんとなく1人で行きたかったのだ。
村瀬と居ると、なんだか調子が狂うような気がして…。

