私の家は母子家庭だ。
だから食卓を囲むのは私と母だけ。
たまに仕事でお母さんがいないときがあるから、1人の時もある。
今日はお礼がしたくて、いつもご飯を作るのは母だけど、私は率先してご飯を作った。
「要…。やっと戻ったね。」
「え…?」
「なんか、顔が明るくなった。」
そう言って笑うお母さんに、先ほどの千恵美を重ねた。
「あの男の子の、おかげなの?」
「え?!あ…いや…。」
「ふふ。」
ああ…。
なんか、戻った気がする。
今、とてもあたたかいよ、綾香。
「お母さん…。ありがとう。」
そう伝えれば、お母さんは一瞬驚いた顔をしたけれど、その後は優しく微笑んでくれた。

