「え…?」




家に帰ると、見知らぬ男が1人。



嘘。冗談です。



村瀬がいたのだ。


無愛想な顔で腕を組ながら。




「なん」



で…と言おうとした私の言葉を遮るように、村瀬は私のであろうブレザーを肩にかけると、そのまま私の肩をガッと掴んで言った。




「てめぇどこほっつき歩いてんだよ?」



「え…?あ…」



「あ、要おかえり。村瀬くんごめんね。待たせちゃって。」



そう言いながらお母さんがお風呂場の方から顔を出す。



「いえ。大丈夫です。じゃあ、俺帰るんで。」



パッと離され、村瀬は玄関へと行こうとする。



が。




「あら。夕飯食べて行きなさいよ?お家近くなんでしょう?」




は…?




「あ、要買い物してきてくれたの?ちょうどいい!要がご飯作りなさいよ。」



「なんで?!」



確かにお母さんにお礼しようと思って買い物してご飯作ろうと思ったけど……




「なんでって…彼氏でしょ?」




『は…?』




私と村瀬の声が重なる。




「ち、違うよお母さん!」



「まるっきり全否定だな、お前。」



「当たり前でしょ!」



「へいへい。帰りますよ。じゃ、お邪魔しました。」



「あら?いいの?また来てね。」




村瀬は帰っていった。