君と私の約束事






『要……?』




部屋に入ると、すぐさま綾香が私に駆け寄ってくる。




『おかえり。どうだっ』



『なんで?』




綾香の言葉を遮るように、私は冷たくそう言い放った。




『え…?』




彼女の方を見れば、困惑した顔で私を見ている。



その顔がやけに私をイラつかせ、半ば叫ぶようにして言葉を続けた。




『なんで言ってくれなかったの?』



『かな…め…?』




震えるような彼女の声に、私はハッとして我にかえる。




『ごめん。ちょっと頭冷やして来るね。』




安心させるように綾香に微笑み、私は逃げるように部屋を出た。