『あ…の…。』
『入って?』
通されたのは、なぜか南くんの部屋。
『えと…。相手の人は…?』
『ああ。村瀬だよ。でもあいつ、基本人と関わらないだろ?どっか行っちゃったんだ。ま、俺が勝手に部屋決めちゃったのもあるだろうし。』
『そう…なんだ…。』
私はこの時、少しの不安を覚えていた。
脳裏に浮かぶのはあの言葉。
“南は危険だ。”
そんなはず……
『好きなんだ。』
『え…?』
パッと南くんを見れば、ニコニコしている。
『なん…て…』
『俺、篠原さんが好き。』
私を……すき…?
うそ……でしょ…?
『俺と付き合って?』
『……。』
嬉しい…はずなのに…
なんだろう?
この胸のもやもやは……。
私もって言わなきゃ…
言わなきゃ…いけないのに……。
『ねぇ?聞いてんの?要。』
え……?
いつもとは違う、酷く鋭い声が耳に突き刺さる。
『みな…みくん…?』
震える声でそう呼べば、彼はニヤリと冷たい笑みを浮かべた。

