『ねぇ…。先生は?』



連れてこられたのは薄暗い非常階段。



こんなとこに先生がいるはずもなく、私は眉をひそめる。




『いねーよ。お前、やめといた方がいいぞ?』




くるっとこちらを向き、村瀬はそんなことを口にしていた。




『なにが?』




『あいつだよ。南。』




『は?』



『あいつ。なにしでかすかわかんねーぞ?お前知らねーと思うけど、あいつは』



『村瀬くんには関係ない。』




彼の言葉を遮るように、私はハッキリとそう口にした。




『そうか。でも忠告しとくよ。南は危険だ。被害受けてるやついるから。』




それだけ言うと、村瀬はどこかへ行ってしまった。




なんなの?
それだけ?


なに?
南くんが危険って…
あなたの方がよっぽど危険じゃない。




そんな事を思いながら、南くんが待っているであろう廊下へ足を進めた。