『あ、篠原さん。』
こちらに笑顔を向けてきた南くんに、私は返すように微笑んで見せた。
『南くん…。』
『ごめんね。呼び出しちゃって。ちょっと話しがあって…。』
少し顔を赤らめながら言う南くんに、
もしかして…
なんて期待している自分がいた。
『あの…』
『おい。』
『え?』
ドスの利いた声が聞こえて、私たちは顔を見合わす。
『なんだ…村瀬か。どうした?』
パッと見れば村瀬が立っていて、南くんは優しく村瀬に声をかける。
『ちょっとそいつ貸してくんね?先生に呼ばれてんだよ。そいつと。』
そう言いながら、私を指差す村瀬。
『え…。』
『あ、そうなの?じゃあ、ここで待ってるよ。行っておいで。』
そう言って微笑む南くんに、私も微笑み返す。
『……行くぞ。』

