「なに?」



空き教室に入ったのと同時に、私は村瀬にそう聞いた。



出来る限り村瀬とは一緒に居たくない。


特に2人きりは嫌だ。




「最近は?」



なにが?と聞き返したいくらい主語はなく、それでも通じてしまう私はすぐに返事を返す。



「普通。」



「そうか。」



それ以降何も話さない村瀬に、私は少しのいら立ちを覚える。




「それだけ?」



冷たく言い放てば、ずっと後ろを向いていた村瀬がこちらに視線を向けた。






嫌いだ。





私は村瀬の瞳も嫌いだ。



鋭いようで、けれどどこか優しい瞳をしている村瀬が、






私は大嫌いだ。






「もうすぐ、一年経つ。」







村瀬の言葉に、私の胸が嫌な音をたてた。






「もうすぐ…










お前が自殺して、あいつが死んで1年だ。」