そう言って振り向いた南くんの顔は,ひどかった。 涙を流して目をはらして,怒りに溢れているようだった。 「あたしも行く」 南くんは一瞬驚いたようだったけど,すぐにあたしの手をとって走り出した。 南くんの手は大きくて…かたくて温かかった。 …―――――――――― どのくらい走っただろう。 鞄はドコにおいただろう。 制服姿のあたしたちは北中にいた。 前には学ランを着た南くんが歩いている。 後ろにはスカートをひらひらさせながらあたしがいる。