食器を洗っていると、ずっと後ろから見ているのだ。 「風邪なんでしょう?なら、寝てないと駄目ですよー」 食器をすすぎながら、そう言うと、ふわっと先輩の香りとともに、背中が急に温かくなった。 首には先輩の腕が回されていて、耳元で先輩の声がして、妙にくすぐったい。 「せ!先輩?」 「んー?」 「あの、やめてもらっていいですか?これ終わらないっていうか……」