冷たくて優しい先輩




先輩の香水の匂いがする。




「すみません、ありがとうございました」



私がそう言っても、長浜先輩から反応がない。



「先輩?」


先輩が顔を上げた時、先輩の目があまりにも真剣で出しかけた言葉が引っ込んでしまった。



「もっかい言って」

「え?」


「もっかいさっきの言葉言って」


先輩の掠れた声が妙に色っぽい。


私の心臓の音が先輩に伝わってしまうのではないかと心配なほど、緊張する。


本当に緊張して言葉が出ないってあるんだ。