野球部は遠征中。
生徒会の私達は講堂で準備中。
インターハイ・コンクールの激励会は本部と放送委員がやることに。
「あれ?マイクどこ?」
「僕が取ってきます!」
会長の指示は相変わらず的確でなんだか安心。
激励会は月曜日。
野球部のスタメン発表も月曜って言ってたな。
今日は日曜日。
隣の体育館からはバスケ部のドリブルの音がきこえてくる。
いつもだったら、野球部の声も聞こえてくるのに。
「おい、仕事しろ。もうすぐ、『あれ』届く頃だぞ。」
会長からの一言。
私の仕事は会場の飾り付け。
全校生徒から集めた各部活へのエール。
そして、各部活動の意気込みを込めたもの。
飾り付けている私も気持ちがこもっていることを実感した。

そう、会長が言っていた『あれ』とは。
毎年恒例の野球部、大阪遠征。
2日間、練習試合をしていたら肉体的にも精神的にも疲れる。
その疲れを少しでも癒やすために生徒会から差し入れを。
その年の『会計』の仕事ぶりによって差し入れの中身が変わるらしい。
ラッキーなことに、差し入れの中身を決めるのは会計だ。
なぜ、会計が大きな鍵を握るのかと言うと。
激励会の予算の中から差し入れをしなければならないからだ。
計算がうまい会計だと豪華に。
計算があまりよくない会計だと質素に。
と、とても分かりやすいのだ。

「祭吏!終わったら、次の仕事!」
ん?
なんか、仕事あったっけ?
「2学期には、体育祭と文化祭があるんだ。
文化祭はクラスで考えてもらうからいいけど、
体育祭は『完全生徒会運営』なんだよ!」
は?
ってことは、競技や種目、得点の配点。
全て私達がやれと?
無理無理無理無理。
なんか、ぶっきらぼうだな。
「1学期から、考えとかねぇとダメなんだよな。」
そういったのは冬馬先輩。
体育祭、大好きそうな冬馬先輩がそんなこと言うなんて。
「わかったら、今すぐ生徒会室に移動!」
会長の一言とともに、本部役員が生徒会室へ移動する。