放課後。
部活もある程度終わって、クールダウンするだけ。
「ランニング!5周走って来い!」
「行くぞぉ!1・2・3・4」
「「「5・6・7・8」」」
キャプテン、大鳥先輩の声に合わせて俺達も声をだす。
さすが、強豪校、ペースが早ぇ。
疲れた。
全員で5周走ってくると監督からの遠征メンバーを発表し始めた。
2・3年生のメンバー発表が終わり、いよいよ1年生。
「続いて、1年。まずは1軍の、源朔弥。
2軍、轟木藍智。2人目も2軍、柿本悠哉、以上だ。」
お!お!お!
藍智が、遠征メンバーに選ばれた!
ほんっと、よかったし、心の底から嬉しい!
「遠征費は明日、持ってくるように。
明日から出発だ。荷物、忘れないようにしろよ!」
最後に挨拶をしてみんな下校。
と言っても、野球部の大半は寮に入っている。
強豪校だから、県外から来ている奴らもいる。
でも、桜葉高校は県立高校。
スカウトはしていない。
勝手にできる奴らが集まるって感じだ。
「朔弥!!!」
「藍智、遠征メンバーおめでとう!」
お前すげぇよ!
有言実行。俺だけにあかした言葉っていうか、執念。
『ぜってー遠征メンバーに入って、お前に追いつく!』
俺だって実現できるかどうか分かんねぇのに。
有言実行ほど、カッコいいことなんてねぇっつの!
「これで、独りじゃねぇな。」
え?
「作戦成功ってか?」
そう言って駆け寄ってきたのは同じく遠征メンバーの柿本。
「俺達、中学の頃からずっとコンビ組んでんだよ。俺と悠哉。」
衝撃の事実!!!
「本当は俺が1番、柿本が2番、打つのがベストなんだよ。」
「でも、1年では打率いいから2人共クリーンナップ。」
確かにそうだ。
紅白戦では、柿本が3番、俺が4番、藍智が5番だった。
でも、悪いよりかはいいじゃねぇか。
「で、藍智から源の話は聞いてた。
だから、俺達がお前のこと独りじゃなくしようって。」
「いっとくけど、言い出したの悠哉だから。」
二人からの熱い友情だ。
「だから、俺達さ、これから3人で目指そうぜ!全国制覇!」
藍智と柿本からの精一杯の応援と友情。
そして、全国制覇への第一歩。
俺はそう感じた。「ていうか俺のことも悠哉って呼んでよ!」
なんか、これから3人でやっていけそうな気がする。
「藍智、悠哉、ありがとう!!」
2人に送る、精一杯の『ありがとう』
この先、全国制覇した桜葉高校のメンバーに
俺達、3人のなまえが刻まれることを願って俺達は野球に励む。
まずはその一歩。
大阪遠征で全戦全勝。
まず、試合に出してもらえるかわかんねぇけど。
それでも、レギュラーに入るために俺達は頑張るしかねぇんだ。