「朔弥!スタメンってほんと?」
満面の笑みを浮かべているのは黒咲祭吏。
俺のこと1番近くで見てくれてたからな。
「まだ、スタメンって訳じゃねぇよ。」
「もしかして、大阪遠征で決まるみたいな?」
大方あたり。
実践で使えなきゃ意味ねぇ。
てか、明日から遠征とか嫌だー!
遠征に行けるのは1軍と、2軍の2・3年生から選抜四人ずつ。
1年は2軍の2人だけ。
1軍におれがいるから、一年は全員で3人行くことになる。
だから、遠征に行くのは計30人。
今日は木曜だから、2軍で行くメンバーは今日、発表される。
この遠征に行けるかどうかで、今後が決まる。
俺に関してはスタメンかどうかが決まる。
「祭吏、今日って生徒会の仕事ある?」
「うん、昼休みは今日はないって。そのかわり放課後。
インターハイ・コンクールの激励会について。」
最初は嫌だって言ってたけどいまではもう、大切な生徒会の一員だな。
「ならさ、放課後、練習終わるの待っててくんねぇ?」
「いいよ!」
遠征で会えないから祭吏で俺の充電満タンにしとかないと。
てか、俺、どんだけ祭吏のこと好きなんだか。
自分で自分が分かんねぇ。
「朔弥、お父さんを超えてね!」
祭吏のお父さん・・・・。
俺は祭吏のお父さん『黒咲誠捕手』を超える。
バッティングも捕手としてのセンスも。
あの夢の舞台、甲子園で全国制覇してやる。
全国制覇のチャンスは全部で5回。
『桜葉高校の黄金期、再来』って新聞の一面かざってやる!
甲子園の舞台で桜を満開にしてやる!
どこの部活でも桜葉高校の応援幕は桜色。
そこに添えられている言葉は

『サクラ咲ケ』

これが、1番の応援の言葉だ。
バスケ部、ハンドボール部、自転車競技部、テニス部、
バレー部、剣道部、弓道部、などなど、
野球部を含めた、部活動の円陣には『サクラ咲ケ』の言葉が入っている。
この言葉のように甲子園に『桜を咲かせる』ことが俺達の使命なんだ。