サクラ咲ケ

「俺が見た限り、黒咲選手が一番完璧なキャッチャー。
いろんなピッチャーの癖を見ぬいてその人にあったリードをしてた。」
本当の完璧なキャッチャーだな。
黒咲のお父さん、すごすぎだろ。
今は亡き黒咲のお父さん。
葬式、野球関係者、すげぇ多かったな。
ていうか、プロ野球選手きてたし。
多分、元チームメイトとか甲子園で戦った奴ら。
俺も、そんなふうな選手になりてぇ。
「紅白戦、後半。7イニング目。」
ブルペンに入って話し始めたのは善福寺監督。
「源は投手の癖を見ぬいていたんじゃないか?」
あの時の投手は確か若松。
あいつの癖は左打者のアウトコースがすげぇ苦手。
スライダー投げれるけど、シンカー覚えたほうが良さそうだ。
あと、疲れてくるとスライダーがすぐに浮く。
それに、キャッチャーに首振りすぎ。
どんだけストレート好きなんだよ。って思った。
「左打者には、インコースを攻め続け打ちとった。
前半はよく首をふっていた若松も、
7イニング目から首を一切ふらなくなった。」
俺が思うに、キャッチャーに必要なのは見ぬく力。
相手の性格、球種、癖、得意不得意、すべてを見ぬく力だ。
それが、バッティングにもいい意味で影響してる。
これが、俺の持ち味だ。
「その後7イニング目からはノーヒットだ。
あと、ランナーがよく見えているな。
牽制球でアウトをとったのは、さすがとしか言えないな。」
監督の表情は笑顔だった。
盗塁阻止率90%って言われてた時期もあった。
今は、若干おとろえてるけど・・・・。
「あと、今回の紅白戦の打率は10割。
5回の打席、全てでヒットを放っている。」
1打席目は三遊間、2打席目は内野安打。
3打席目と4打席目は2つともセンター前。
5打席目はタイムリーツーベースヒット。
バッティングの内容は今までで一番良かった気がする。
ラストのタイムリーは大鳥先輩の十八番、フォークを打った。
ていうか、その時の球、すげぇ重かった。
コースが少しあまかったかな。
そこを叩きに行った、それだけだけどね。