「祭吏・・・」
お父さんが声を振り絞って私の名前を読んでくれた。
ガラガラ。
「黒咲さん。」
入ってきたのは父の主治医。
その主治医に言われた一言。
もう、目を覚ますことはないかもしれない。
気を使って病室を出て行った。
「この人、私の彼氏なの。源朔弥くん。」
「おう、朔弥くんか・・・・」
「はじめまして」
朔弥は父に一礼する。
「朔弥くん、祭吏を頼んだ。」
ピーーーーー。
この一言を最後に、父は空へ羽ばたいていった。
お父さん。本当にありがとう。
私、これから・・・
これからどうすればいいんだろう。
お父さん、お父さん・・・・・・。
涙が止まらなかった。
朔弥は私を抱きしめてくれている。
朔弥の目にもうっすらと涙がうかんでいた。