その年の夏。
夏の全国高校野球。通称、『甲子園』。
今年の甲子園は春の選抜覇者としてのプレッシャーがある。
特に期待されるのはピッチャーと4番バッター。
今年の4番は父だ。
春の選抜で優勝したことにより、緊張はしなかった。
桜葉高校は次々と勝ち上がり甲子園出場を決めた。


疲れた、というのは今年の主将。
主将は父とバッテリーを組んでいた。
今日は甲子園の抽選会。
去年も父はその場にいたけど、今年はより緊張。
去年はまさかの開幕試合を引いちゃってたな。
おかげで、みんなガチガチのまま試合しちゃったし。
着々と進んでいき桜葉高校は2回戦から。
去年よりは楽。
でもその分気が抜けるのと、
今年は『春の選抜覇者』として戦わなければならない。
きっと、研究もされているだろう。
戦いづらい高校もある。
臨機応変に対処しなければならない。
監督は一応、指示はする。
でも、
『ベンチの仲間もプレーしている仲間も作戦を考え、実行する』
これが桜葉高校野球部のモットーだ。
去年の夏、開幕試合。
父を代打に選んだのもベンチにいた先輩だという。
桜葉高校野球部には上下関係がない。
といっても、野球での話だ。
先輩には敬語だし、球拾いなどは1年生がする。
野球球場に入れば先輩にもタメ口でかまわない。
だから、先輩も後輩も仲がいいのだ。
それもあって、後輩に代打を任せることができるのだ。


今年の夏は、春の選抜覇者という重圧に負けた。
結果はベスト16でおわった。