時は25年前にさかのぼる。
母の名前は吏沙子。
私の母が高校1年生の時、父である誠と出会った。
母と父は高校の同級生。
桜葉高校の卒業生なのだ。
父は野球部に入っていて、母はそのマネージャー。
父の当時のポジションはキャッチャー。
たが、1年にしてベンチ入りしていた。
守備も上手く、バッティングはピカイチだ。
そんな父はマネージャーの母に想いを寄せていた。
母は当時の3年生のピッチャーのことが好きだったという。
『そりゃぁ、3年でピッチャーはモテるよな』
と父は半分は諦めていた。
でも、諦めなかったのが父だった。
母が重いものを持っていたら、父が代わりに持ってあげるなどして、
猛烈アプローチをかけていた。