「祭吏?」
あ、朔弥だ。
抜け殻の私を朔弥はギュッと抱きしめてくれる。
「どうした?」
自然と涙がこぼれる。
「中、入っていい?」
そういって、私達は家の中に入った。
あ、お茶出さなきゃ。
「おもてなしとかいいよ。」
また、私を抱きしめてくれた。
もう、涙が止まらない。
なんでなの。なんでわたしなの?
「何があった?」
話したくない。
でも、朔弥は心配してくれてる。
「お父さんが・・・」
朔弥を強く朔弥を抱き締めながら言った。
「意識不明の重体だって。
昨日、タクシーで帰ってたらタクシーが事故って。
それで、それで、」
「もういい。話さなくていい。」
わたしを優しく抱き締めながら言った。
私の言っていることの半分は泣きじゃくってなんて言ってるかわからない。
朔弥は、私の心を察してくれたんだ。
もう、涙が止まらない。
病院でお父さんを見たけど包帯ぐるぐるだった。
憧れの、尊敬してるお父さんだったのに。
私を育ててくれた、たった一人のお父さん・・・。