「俺って友達?」
寂しそうな声で私に言う。
そんなことないよ。
ただ、
「お父さんに彼氏ができたなんて、なかなか言えなくて。
言うなら直接言いたいし。」
私は明るく言ってみせた。
「でも、俺は祭吏の彼氏だからな!」
後ろから私を抱きしめた。
その手は少し強かった。
「そんなこと分かってるよ。」
やっぱり、落ち着く。
「なら良かった。」
朔弥が抱きしめてくれている手を、離そうとした。
「ダメ、もうちょっと」
私は離す手を引き止めた。
もう少し、このままでいたい。
もう少しでいいから。
「できたぞぉー!」
朔弥のお父さんが呼ぶ声がした。
「また、後でな」
そういって、私に軽くキスをした。
「行こう。ご飯食べようぜ」
「うん」