本命チョコ、受け取らないんだったよね……
一瞬でも迷ってしまった自分を盛大に恥じた。
「……なーいよ!」
「えええ!?くれよ~!」
「あんた十分に貰ってんじゃん!」
「気持ちが欲しーの!俺ら友達だろ~?」
駄目押し……
私は、先生方にいつものお礼として渡したチロルチョコの余りの一つを取り出して、アイツに差し出した。
「…これしか残ってなかった」
「お!?やったーー!!気持ち、いただきましたーー!!サンキュー!キャラメル入りのやつ、俺、好きなんだよな~~」
耐えられない。
私はアイツに、チロルチョコを押し付けて言った。
「私、急ぎの用事あるの忘れてた、傘は貸したげるから、また今度返してね」
「え…?どした?急に」
「じゃ、ばいばい、また明日ね」
「お、おう!じゃあな!」
私が本命チョコを渡しに行く決心をしたとでも勘違いしたのだろう、アイツは少し嬉しそうに手を振った。
「って、ちょっと待てよ!傘は持って行けよ!さすがに女子の傘奪うようなことできねえよ!おい、ちょっと待てって……」
走っていこうとした私を呼び止めるアイツの声が、背中に聞こえた。
ほら、またそういうこと言う
…女子…とか、私、今まで全然言われたこと、無かったんだよ?
「ちょ…待てって!」
アイツが、私の肩をつかんで振り返らせた。
「どうしたんだよ、いきなり……」
そこまで言って、アイツは言葉を止め、傘を落とした。
そりゃ、そうだよね、だって…
私は、泣いていた。
ホントに、ごめん、
私はそう言って、呆然と立ち尽くすアイツをおいて、走って逃げた。
アイツの落とした傘が、居場所を失ったようにアイツの足元に転がっていた。
一瞬でも迷ってしまった自分を盛大に恥じた。
「……なーいよ!」
「えええ!?くれよ~!」
「あんた十分に貰ってんじゃん!」
「気持ちが欲しーの!俺ら友達だろ~?」
駄目押し……
私は、先生方にいつものお礼として渡したチロルチョコの余りの一つを取り出して、アイツに差し出した。
「…これしか残ってなかった」
「お!?やったーー!!気持ち、いただきましたーー!!サンキュー!キャラメル入りのやつ、俺、好きなんだよな~~」
耐えられない。
私はアイツに、チロルチョコを押し付けて言った。
「私、急ぎの用事あるの忘れてた、傘は貸したげるから、また今度返してね」
「え…?どした?急に」
「じゃ、ばいばい、また明日ね」
「お、おう!じゃあな!」
私が本命チョコを渡しに行く決心をしたとでも勘違いしたのだろう、アイツは少し嬉しそうに手を振った。
「って、ちょっと待てよ!傘は持って行けよ!さすがに女子の傘奪うようなことできねえよ!おい、ちょっと待てって……」
走っていこうとした私を呼び止めるアイツの声が、背中に聞こえた。
ほら、またそういうこと言う
…女子…とか、私、今まで全然言われたこと、無かったんだよ?
「ちょ…待てって!」
アイツが、私の肩をつかんで振り返らせた。
「どうしたんだよ、いきなり……」
そこまで言って、アイツは言葉を止め、傘を落とした。
そりゃ、そうだよね、だって…
私は、泣いていた。
ホントに、ごめん、
私はそう言って、呆然と立ち尽くすアイツをおいて、走って逃げた。
アイツの落とした傘が、居場所を失ったようにアイツの足元に転がっていた。
