そばにあるもの




俺は話を続けた。


『すぐにこの事言わなくて悪かった。

実杏が前の俺を好きなのはわかってた、


今の俺じゃないってことも…………



でも俺はあの日から実杏が好きだった。



そばにいたいと思った。


どうにかしてでも、
今の俺を好きになって欲しかったんだ。





こんな強引なことしてごめんな…



傷つけたよな…』




俺はそう言って繋いでいた手を離そうとした。


なのに実杏は力をいれた。


「ちがうよ…………


もちろん驚いたけど…………

私今、ものすごい幸せだよ。



正直、私はあの男の子が大好きだった。


でも東京で廉くんに会って、



気づいたら廉くんで頭はいっぱいなの、





私が好きなのは…………


廉くんだよ」